【記事丸わかり】
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そもそも所有権解除とは?
デミオやヴェルファイアーのような登録車であれ、ワゴンRやミラのような軽自動車であれ、車検証には「使用者」欄と「所有者」欄があります。
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車をローンで購入した場合、多くの場合、上の画像の①「使用者」に車を買った人の個人名が、②「所有者」にディーラー名かローン会社名が入ります。
車検証のこのような状態を「所有権留保」と呼びます。
つまりディーラーやローン会社の側が、ローンを組んだ人に対して、まだ完全な「所有権」を与えずに、その権利を「留保」している、という意味です。
「ローンをすべて払い終わるまで、この車はまだあなたのものではないですよ」と宣言しているわけです。
ではローンを完済したらどうなるか?
たとえば、オリコの場合、オートローンの完済日が近づくと、「オリコ所有者名義変更に関するご案内」というハガキがローン返済者に郵送されます。
この案内ハガキの内容は、「お支払い完了後は速やかに車両の所有者名義を株式会社オリエントコーポレーションからお客様へ変更手続きされることを推奨いたします」というものです。
もっとも、すべてのローン会社がこうした案内を送付してくれるわけではなく、また、送付されたとしても、日々多忙の中、そんなハガキには気づかずにいる人のほうが多いと思います。
実際のところ、「所有者」がディーラーやローン会社のままであっても、車検は問題なく通りますし、特に問題になることはないので、ほとんどの人がそのままにしているのが現状です。
ところが、継続してその車に乗り続ける場合は問題ないのですが、いざ廃車にしようとすると、いきなり壁に突き当たります。
「使用者」と「所有者」が違うという壁です。
車を廃車にするには「所有者」の承諾がないとできません。
このケースでは、すでにローンを完済しているのですから、実質的な所有者はその車を使い続けている使用者です。
でも車検証の所有者欄にはディーラーやローン会社の名前がある。
所有権解除というのは、まさにこういうケースに行う手続きです。
車検証の所有者欄からディーラー名や保険会社名を外し、使用している人の名前に変更する手続きです。
なお、上の例では、すでにローンが完済された場合を取り上げましたが、まだローン返済中だけれどやむを得ない事情で所有権を解除したいケースもあり得ます。
たとえば、自然災害や交通事故で車が使用できない状態になった場合です。
車が使えない状態ですから、早く廃車手続きしないと軽自動車税にストップが掛けられません。
自賠責保険も解約したいけれど、車を廃車にしないと自賠責保険の解約もできません。
こんなケースでは、まず何とかしてローンの残債をどうするかに目処を付けなければなりません。
特殊なケースでは、ローンが残っていても、ローン会社が所有権解除に応じる場合もあります。
このページでは、こうしたケースについても解説していきます。
所有権解除して廃車にする(ローン完済のケース)

まず、このページで「廃車にする」という場合の「廃車」についてちょっと触れておきます。
「廃車」には一時抹消と永久抹消があります。
軽自動車の場合、正式には、一時抹消は「自動車検査証返納届」といい、永久抹消は「解体返納」といいます。
しかし、ここでは一時抹消・永久抹消の言葉を使います。
軽自動車検査協会の職員さんもみんな使っています。
一時抹消とは、車は残しておき、ナンバープレートを返納して、一時的に公道を走れない状態にすることです。
永久抹消は、車体を解体処分し、ナンバープレートを返納して、永久に公道を走れない状態にすることです。
このページで「廃車にする」と言うときは「永久抹消にする」という意味で使います。
車を解体処分して2度と乗らない手続きです。
(※)一時抹消にしたい場合は、解体処分の手続きを飛ばせばいいだけです。
「所有者」欄のディーラーやローン会社に連絡する

すでにローンを完済しているけれど、何の手続きも行わずに車に乗り続けていて、いざ廃車にしようというときになって「使用者」と「所有者」が違う壁に突き当たったケースです。
車検証の「所有者」欄にはディーラー名やローン会社名が記載されています。
この場合は、まず、ディーラーやローン会社に次のように電話連絡してください。
「今度車を廃車するので、所有権解除の書類を送ってください」
すると「申請依頼書」という書類にサインと押印がされた状態で送られてくると思います。
これが所有権解除の書類です。

申請依頼書(書類の名称や内容が多少異なる場合もあります)
ディーラーやローン会社の中には、「車検証のコピーを送ってください」というところもありますが、そのときは仕方ないのでコピーを送るなりファックスするなりしてください。
ディーラーやローン会社から所有権解除の書類が送られてきたら、いよいよ手続きを開始します。
「所有権解除+永久抹消」をひとまとめに

所有権解除の手続きと廃車(永久抹消)の手続きは、本来別々の手続きです。
順番から言えば、まず所有権解除を行って車検証の所有者を変更し、その手続が終了してから、次に廃車(永久抹消)の手続きに進むことになります。
けれども、それでは必要とする書類が重複して無駄になりますし、手続きの時間も余計にかかってしまいます。
そこで、こういう場合には2つの手続きを1つにまとめてやります。
オールインワンです。
一気にやってしまいます。
登録車の場合には「移転抹消」と呼ばれる手続きです。
まず車を解体する
いよいよ「所有権解除+永久抹消」の手続きに入っていきます。
永久抹消ですから、まずは車を解体処分します。
廃車引き取り業者あるいは廃車解体業者などに引き取ってもらいます。
車がまだ動く場合はその車に乗って業者に「持ち込み」をすればその分料金が安くなります(帰りのアシは別途用意が必要)。
完全に動かない場合はレッカーか積載車で引き取ってもらいます。
料金は5,000円~25000円くらいでしょう。
廃車を引き取る業者には、引き取ってから自社においてリサイクル部品の回収・解体処理まで一体で行う業者もあります。こうした業者はほぼ無料で引き取ってくれるでしょう。しかし、もっぱらリサイクル回収が専門で、残りは解体業者に回すところでは、解体業者(外注)に回す分だけコストがかかるので、そのコストを回収するためにあなたに費用を請求します。こうした事情から業者によって引き取り価格が異なります。
さて、業者に引き渡す際、
を外します。
この2枚のナンバープレートを、後日、軽自動車検査協会で手続きする際に窓口で返納します。
ナンバーの取り外しは、頼めば業者さんがやってくれます。
ドライバーがあれば自分でも外せます。
軽自動車の場合、登録車のように金属の封印はないので、ドライバーで簡単に外せます。
また、業者さんに車を引き渡す際、もう一つ大事なことがあります。
それは、
を業者さんに渡すことです。

自動車リサイクル券
上の画像のものが自動車リサイクル券です。
この一枚の書類を業者さんに渡せば、業者さんの方で必要事項を書き込んで赤丸で囲んだ部分、
【B券】使用済自動車引取証明書
をあなたに返してくれます。
【A券】の部分を業者さんが受け取って、【B券】【C券】【D券】の部分を戻してくれると思います。
そして、この【B券】使用済自動車引取証明書は、このあと軽自動車検査協会で永久抹消(解体返納)手続きをする際に必ず必要になります。
(※)赤丸の中の【B券】の下に「リサイクル券番号(移動報告番号)」とありますが、ここにある番号が軽自動車検査協会の手続きで必要になります。
引き取り業者からの連絡を待つ
業者さんからリサイクル券の【B券】を受け取ったら、その日はそれでおしまいです。
まだ軽自動車検査協会での手続きはできません。
永久抹消(解体返納)の手続きは、軽自動車検査協会が車を解体処分したことを確認することで、初めて行うことができます。
引き取り業者に車を渡したこの時点では、まだ車は解体されていません。
あなたは引き取り業者さんから、
の連絡が来るのを待ってください。
通常、電話かメールで連絡が来ます。
連絡が来たら「〇年〇月〇日解体終了」とメモしておいてください。
業者さんの混み具合によりますが、数日後か、遅くとも1週間以内に連絡が来るはずです。
つまり、永久抹消(解体返納)の手続きは1日で終わらないということです。
業者さんに車を引き取ってもらってから、数日経過した後でないと、いざ軽自動車検査協会での最終的な事務手続きに進めないのです!
いざ軽自動車検査協会で手続き
・・・ということで、業者さんから「解体報告記録日」の連絡が来ました。
これをメモしておきます。
いよいよ協会で手続きを進めます。
その前に必要書類を確認しておきましょう。
必要書類
(1)自動車リサイクル券
(2)使用済自動車引取証明書
(3)解体報告記録日のメモ
(4)ナンバープレート2枚
(5)車検証の原本
(6)使用者の認印
(7)ディーラー・ローン会社から送られてきた「所有権解除の書類」
(8)自動車検査証記入申請書(OCR軽第1号様式)
(9)解体届出書(OCR軽第4号様式の3)
(10)マイナンバーカード(通知カード)・口座情報
ではひとつずつ解説していきます。
(1)自動車リサイクル券

自動車リサイクル券
車の解体のところでご説明したとおり、解体業者さんにわたします。
(2)使用済自動車引取証明書

自動車リサイクル券【B券】「使用済自動車引取証明書」
解体業者に自動車リサイクル券を渡すと、業者は赤丸で囲んだ部分に必要事項を記入して返してくれます。
これが「使用済自動車引取証明書」で、リサイクル券の【B券】の部分です。
これと次に出てくる(3)のメモが協会の手続きで必要になります。
(3)解体報告記録日のメモ
車を解体業者に渡してから数日すると、業者から解体が完了したという報告が電話かメールできます。
その日付をメモに書き留めておきます。
このメモと上の(2)「使用済自動車引取証明書」が協会の手続きで必要になります。
(4)ナンバープレート2枚
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ナンバープレート前後2枚
解体業者に車を引き渡した際、業者が外してくれます。
自分でもドライバーで簡単に外せます(登録車のように金属の封印はありません)。
後日、手続きの際に軽自動車検査協会に返納します。
(5)車検証の原本
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自動車検査証(車検証)
コピーではなく原本が必要です。
(6)使用者の認印

認印
実印ではなく認印でOKです。
印鑑証明も不要です。
使用者が法人の場合は代表者印です。
この場合も代表者印の印鑑証明は不要です。
(7)ディーラー・ローン会社から送られてきた「所有権解除の書類」

申請依頼書
ディーラーやローン会社から送ってもらった所有権解除の書類です。
サインや押印がされているはずです。
押印があっても、その印の印鑑証明は不要です。
(8)自動車検査証記入申請書(OCR軽第1号様式)
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自動車検査証記入申請書(軽第1号様式)
この書類は名義変更(所有権解除)のための書類です。
協会の記入デスクに記入例があります。
それでもわからない場合は窓口の人が丁寧に教えてくれます。
(9)解体届出書(OCR軽第4号様式の3)

解体届出書(軽第4号様式の3)
これは永久抹消(解体届出)と自動車重量税還付申請書を兼ねた書類です。
まず永久抹消(解体届出)に関しては、(2使用済自動車引取証明書)の番号と(3)解体報告記録日のメモにある日付を記入します。
自動車重量税還付に関しては、下の(10)にあるマイナンバーカードの番号を記入します。
マイナンバーカードをまだ作成してない場合は通知カードの番号です(同じ番号ですが)。
重量税の還付は指定口座への振込になりますから、用意した口座情報を記入します。
(※)自動車重量税が還付されるのは永久抹消の時点で車検期間が1ヶ月以上残っている場合です。
(※)なお、軽自動車税には還付制度はありません。
(10)マイナンバーカード(通知カード)・口座情報
上の(9)で使用します。
口座情報は通帳を持参しなくても口座番号等をメモ書きしたものでOKです。
以上、必要書類の確認でした。
軽自動車検査協会での手順
協会での手続きの手順に関しては自治体によって対応が異なることがあります。
しかし一度陸運局や軽自動車検査協会を訪れたことがある人はご存知だと思いますが、たくさん並んでいる窓口には大きな番号板が掲げられていて、床には色別に複数の矢印がペイントされていたりします。
「所有権解除から永久抹消まで一気にやってしまいたいんですけど」
と窓口の人に伝えれば、
「あなたは青い矢印に沿って順番に窓口に提出していってください」
というように手順を教えてくれます。
また書類の記入台には記入例があって、何をどこに書き込めばいいのかわかるようになっています。
それでもわからない場合は窓口の人が詳しく教えてくれます。
ですから現場に行ってしまえば何とかなるものです。
それよりも注意すべきは、持参すべき書類に欠品はないか、間違った書類を持ってきていないか、という点です。
ここで失敗すると、誰にも助けてあげることができません。
事前によく確認して、わからないことは電話で軽自動車検査協会に問い合わせしてください。
ということで、「所有権解除+永久抹消」の手続きはこれで終わりです。
手続きが終わると「解体のお知らせ」という控えのようなものを渡されます。
これは特に何かの証明書というわけではなく、単なる控えです。
もしも車を解体処分して2度と使用できないようにしたことを正式に証明する書類が必要な場合は、窓口で申請することでその場で発行してくれます(300円ほど)。
「検査記録事項等証明書」と「現在記録事項等証明書」は自動車保険の中断証明書を発行してもらう際に利用できます。

検査記録事項等証明書
「解除事由証明書」は自賠責保険の解約に利用できます。

解除事由証明書願
この証明書を入手するには、事前に自賠責解除事由証明願を2枚ダウンロードしておき、手続きの最後に協会の窓口に提出します。
すると協会の印を押して、1枚は協会の控え、もう1枚を渡してくれます。
これを持って保険会社の窓口へ行けば、自賠責保険の解約ができます。
所有権解除して廃車にする(ローン未完済のケース)
言うまでもなく、ディーラーにしろローン会社にしろ、ローンがまだ残っていれば所有権解除には応じません。
これが大原則です。
ですから、ローンの残債があるけれど廃車にしたいという場合は、ローンの残債を一括返済してしまえば、何の問題もなく所有権解除できます。
手持ちの現金で一括返済するか、新たにローンを組んで古いローンを完済してしまうか、いずれかの方法が考えられます。
けれども、こうしたことが簡単にできるようなら誰も苦労はしません。
事故で修理不能の全損状態になった場合、あるいは修理はできるけれど修理代が異様に高額で全損扱いにしたほうがいい、というケースもあるでしょう。
こういう場合には、ローンの残債がありながらも、所有権解除をお願いしたいところです。
もちろん所有権解除ができたとしても、ローンの残債は残ります。
返済はその後も続きます。
しかし車を正式に廃車処分しておかないと、軽自動車税が課税されますし、自賠責保険の解約もできません。
車が必要だからと、新たな車に乗ることになれば、税も保険も2重の負担になってしまいます。
そういうわけで所有権解除はぜひとも必要になります。
こうしたケースでは、まずはディーラーやローン会社に連絡して、事情をよく話すしかありません。
ディーラーやローン会社でも、原則は原則としてある一方、事情をくんでローンの残債がありながらも所有権解除に応じてくれる場合もあります。
まずは相談してみることです。
これは車が土砂崩れの下敷きになった場合や台風で水没した場合なども同様です。
原則は、ローンを完済しないと所有権解除はできないのですが、例外的に、ローン残がありながら所有権解除に応じてくれることもあります。
まずは相談してみてください。
なお、ここではローンがまだ残っているケースについて話をしていますが、ローンと言っても銀行でオートローンを組んでいる場合は、ほとんどの場合、車検証の「所有者」はローンを組んだ人の個人名になっています。
つまりディーラーやローン会社(信販会社)などの名前が「所有者」欄にはないと思います。
このケースでしたら、そもそも所有権解除する必要はないので、車は何時でも自由に廃車できます。
もちろん、ローンの残債は残りますから、返済は続くのですが。
いずれにしても、めでたく所有権解除ができたら、あとはこのページで解説してきたように、永久抹消の手続きを進めるだけです。
下記の記事も参考になさってください。
ご覧いただきありがとうございました。