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星型エンジンとは
星型エンジンとは、シリンダーが放射状(星型)に配列されたエンジンで、冷却方式は空冷式が基本です。ピストンの往復運動で出力を得る方式なので、あくまでもレシプロエンジンに分類されます。
20世紀半ばまではプロペラ飛行機のエンジンとして使われ、その後、その応用として車やバイクのエンジンとして使われた例もありますが、しかし、一般に普及した形式ではありません。
英語ではradial engineと呼ばれていて、radialなので「放射状」という意味になりますが、日本では「星型」と表現しています。
星型エンジンは星型のシリンダーが前面に来るので、風がまともに当たることになり、冷却方式は空冷が基本ですが、例外的に水冷式のものもあったようです。
星型エンジンのシリンダー数は、4ストロークエンジンの場合、点火順序をひとつおきとすると燃焼間隔が等間隔となるため、奇数気筒が基本です。5気筒、7気筒、9気筒といったシリンダー数のエンジンが多く開発されました。
シリンダーが放射状ということは、吸排気バルブを作動させるプッシュロッドの配列も放射状であり、そのため、カムシャフトはなく、クランクケースの外側に円盤状のカムを配置させていました(板カム)。
また、星型エンジンには、構造上の弱点があり、それはオイル下がりという現象です。シリンダーが放射状なので、エンジンを時計と見立てた場合の3時と9時の水平線より下に配置されるシリンダー部分には、エンジンオイルが重力で溜まりやすくなります。この貯まったエンジンオイルが原因でスパークプラグが発火しにくくなるのです。このオイル下がりによって、最悪の場合にはピストンが動かなくなる流体固着あるいはハイドロリックロックという現象に陥ることもありました。
搭載例
スバルの前身は中島飛行機です。戦闘機を作っていました。
- 中島飛行機製「寿」:星型9気筒エンジン。1930年代から九六式艦上戦闘機などに搭載
- 中島飛行機製「栄」:2重星型14気筒エンジン。第二次世界大戦時に零式艦上戦闘機などに搭載
- 中島飛行機製「誉」:2重星型18気筒エンジン。紫電改(戦闘機)などに搭載
その他、ドイツやアメリカの戦闘機等に使用された記録があります。
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