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トヨタ・bZ4xはどんな車?売れ行き・評判・レビュー・売れない?
トヨタ・bZ4x (Wikipedia)
【2023年4月27日追記】トヨタでは、これまでユーザーから指摘されてきた次の点を改良すると発表しました。「1日当たりの急速充電回数の制限」、「充電率(SOC)80%状態から100%になるまでの充電時間の長さ」、「メーター上の航続距離が残航続距離0kmになるタイミングが早いこと」、「メーター表示で充電容量表示がわかりづらく、エアコン使用時での航続可能距離の大幅な減少への不安」など。
5月下旬以降、改善策をソフトウェアアップデートで実施する予定。すでに納車ずみの車両以外にも今後生産予定のすべてのbZ4xに適用していくとのこと。なお、兄弟車であるスバルソルテラも同様の対策を取るようです。(WebCG)
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(ここから記事本文)
トヨタのbZ4X(ビーズィーフォーエックス)は100%電気自動車です。SUVです。2022年5月にデビューしましたが、ちょっと不運な滑り出しになりました。詳細は後ほど。
スバルとの共同開発で生み出されたBEVであり、スバルではソルテラ(SOLTERRA)の車名で販売されています。兄弟車あるいは姉妹車ですね。
このページでは「トヨタ・bZ4xはどんな車?売れ行き・評判・レビュー・売れない?」をテーマにわかりやすく解説していきます。参考になさってください。
bZ4xとソルテラは販売方法が異なる
bZ4xとソルテラは共同開発による姉妹車ですが、生産はトヨタの元町工場(愛知県豊田市)で行われます。同じトヨタとスバルの共同開発車である86とBRZの場合は、スバルの群馬製作所本工場(群馬県太田市)で行われています。この違いは面白いですね。
bZ4xとソルテラは販売方法が異なります。bZ4xはリースとサブスクリプション(KINTO)のみの販売ですが、ソルテラは普通に購入できます。
名前の由来
bZ4xという暗号のような車名の由来について。
「bZ」とは Beyond Zeroを意味します。 Zeroを超えた価値の創出を目指すという意味です。
「4」はミディアム車格を示します。
「 X」はSUVというボディタイプを表しています。
したがって、また暗号のような類似の車名が出てくる可能性があります。
最初の「つまずき」について
※「つまづき」でなく「つまずき」が正しいようです。
トヨタのbZ4xとスバルのソルテラは、2022年5月の発売からわずか1カ月で国土交通省にリコールの届け出をしました。販売が再開されたのは10月でした。
リコールの内容は、連続した急加速や急制動の繰り返し等でハブボルトが緩むことがある、というものです。
具体的には、
「ハブに取り付けられたブレーキ装置のホイールとの接点となる面と、ホイール側の接点となる面は、ともに滑らないよう設計しているが、規定トルクでハブボルトを締め付けていても、緩むことがある」(トヨタ副社長の弁:WEB CARTOP)
対策として、ホイール品質を高めるため、接触面の表面粗さを設計通りになるよう見直す。また、締め付けるハブボルトについては、円錐形をしたワッシャーを追加し、Oリングを使ってハブボルトと共にホイールを締め付けることで緩み難くする、というものです。
リコール対象になったのは、bZ4Xが約2700台(国内:約100台、海外:約2600台)、ソルテラが約1600台(国内:約100台、海外:約1500台)とのこと。
このリコールは、トヨタにもスバルにも大きな痛手でした。なぜなら、後にご紹介するように2022年は次から次へとEV車が日本市場に投入され、しかも、投入されたモデルがことごとくbZ4xやソルテラが属するミドルサイズSUVの車だったからです。
デビューは華々しかったbZ4xとソルテラでしたが、こうした事情で、すっかり影の薄い存在になってしまったのでした。
bZ4xが目指したもの
bZ4xが目指すものについて、トヨタのある幹部は次のようにコメントしています。
「重視したのは、これまでトヨタ車に乗ってこられたユーザーが違和感をもたずに乗り替えられることです。」
このページの最後にレビュー・評価をご紹介しますが、上記コメントは言葉通りに受け取っていいようです。つまり、これ見よがしに電気自動車であることを主張せず、ちょと地味に思えるくらいの、トヨタらしくいい意味で「普通の車」を作ったのだと思います。
※フォルクスワーゲンのID.4も同様の車(今までの車から乗り換えても違和感を持たない車)を目指しているようです。
ただし、販売方法がリースとサブスクのみという点が、「腰が引けてるなあ」「まだ本気じゃないんだな」と誰もが・・・少なくとも私は強く感じているところであります。
e-TNGAプラットフォームはEV専用設計ではなかった?
当初、1つの例外もなく全てのメディアが、「bZ4xの車台(プラットフォーム)はEV車専用のもの」と紹介していました。しかし、実際は、ガソリン車やハイブリッド車等の既存モデルとの共通部分を残したプラットフォームだったようです。(朝日新聞)(モーターファン)
そのため、トヨタではEV車戦略の見直しを行い、近いうちに新たな戦略目標を発表するようです。具体的には、真にEV車専用のプラットフォームを開発し、当初30車種としていたEV車の数を絞り込む、という見方が有力です。
bZ4xのライバル車たち
トヨタのbZ4xの立ち位置は、BEV市場における最激戦区と言える場所です。
アマゾン通販のレコメンド風に言えば、「トヨタ・bZ4xに興味がある人は、下記の車にも興味があります。」ということになるでしょう。
- トヨタ・bZ4X:600万~650万
- スバル・ソルテラ:594万~682万
- テスラ・モデルY:579万~750万
- BYD・ATTO3:440万
- フォルクスワーゲン・ID.4:499万~648万
- 日産・アリア:539万~790万
- ヒョンデ・アイオニック5:479万~589万
- ホンダ・ホンダe:495万
- メルセデスベンツ・EQB:788万~906万
- BMW・iX3:862万
- アウディ・Q4 e-tron:620万~710万
- ボルボ・XC40 Recharge:579万円~679万
上記の多くの車は、2022年中に日本市場に参入したモデルです。日本のEV車市場はたった1年であっという間に様相が一変したということになります。
スペック・仕様
bZ4xは2グレード構成です。販売は、リースとサブスクのKINTOのみです。
- Z (KINTO専用グレード):600万円
- Z 4WD (KINTO専用グレード):650万円
(参考)ソルテラは3グレードで594万円・638万円・682万円
主なスペック・仕様は以下の通りです。
Z | Z 4WD | |
サイズ(mm) | 全長4690×全幅1860×全高1650 | 全長4690×全幅1860×全高1650 |
車両重量 | 1920kg | 2010kg |
ホイールベース | 2850mm | 2850mm |
最小回転半径 | 5.6m | 5.6m |
最低地上高 | 180mm※ソルテラは210mm | 180mm※ソルテラは210mm |
タイヤサイズ | 前・後輪:235/50R18 | 前・後輪:235/50R18 |
最高出力 (kW[PS]) | 150[204] | |
最大トルク (N・m[kgf・m]) | 266[27.1] | |
駆動方式 | FWD(前輪駆動) | 4WD(全輪駆動) |
総電力量 | 71.4kWh | 71.4kWh |
一充電航続距離(WLTCモード) | 559km | 540km |
自動車税減税率 | 75% | 75% |
自動車重量税減税率 | 100% | 100% |
環境性能割税率 | 非課税 | 非課税 |
荷室容量(シート立てた状態) | 470L | 470L |
bZ4xの様々な特徴
姉妹車ソルテラとの違いを含めて、bZ4xの特徴をご紹介します。
【サイズ感】
bZ4xとサイズ的に最も近いのはスバル・ソルテラです。←「当たり前だろ。まったく同じサイズだ」
トヨタ車との比較では、RAV4とハリアーのちょうど中間のサイズです。
【充電・バッテリー関連】
出力7kWまでの普通充電と150kWまでの急速充電に対応。バッテリーは10年20万キロに亘り70%の容量保証付です。
搭載する駆動用バッテリーセルはトヨタとパナソニックの合弁会社であるプライムプラネット・エナジーソリューションズが生産しています。
bZ4xはバッテリーの安定性・安全性に対する徹底的な対策を施しています。万一冷却液が漏れてもバッテリーには影響しないよう、バッテリーパックの下側に水冷式の冷却システムを配置しています。
冷却システムのクーラントも専用の高抵抗タイプ(電気を通じにくい)を開発しています。またヒーターも備わり、低温下での充電性能を確保しています。つまりバッテリーの温度管理を徹底しているということです。
こうした施策により、発火事故が発生しないように制御され、さらに電池容量の劣化を防ぐ対策も講じています。その結果、10万km走行後でもほぼ90%の性能を維持するとのこと。
【ソルテラとの違い】
FWDモデルは細かな装備やトリム以外はbZ4xとソルテラは同じ仕様です。ただし、4WDはソルテラのみドライブモードに「パワー」と回生ブレーキレベルを選択するシフトパドルが備わっていて、ダンパー設定と前後モーター制御も両車は異なっています。
最低地上高はソルテラの方が30mm高い210mmです。
【0-100加速】
bZ4xの0-100km/h加速は、FWDが8.4秒、4WDが7.7秒。EV車の代名詞である「シートに押し付けられるような強烈な加速感」には乏しいが、必要十分なパワーとトルクを持ちます。
【プジョーのような】
運転席に座ると、プジョーの「iコックピット」のようにステアリングホイールの上端越しにメーターパネルを眺める配置となっています。このためドライバーによっては「メーター表示がハンドルの一部にふさがれてしまう」というレビューが複数あります。
【KINTOでの購入例】
FWDの車両価格は600万円。KINTOの月額利用料は約11万円ほどになります。(1~4年目の金額。補助金を適用するとここから1~2万円下がる)
さらに契約時申込金が77万円必要。ただし、リコール後の再発売に合わせて申込金が38万5000円に半減されました。半減分は実質値引きということ?
売れ行きはどう?売れない?
bZ4xの販売台数は不明です。なお、スバル・ソルテラの2022年通年の販売台数は105台です。日本国内の数字です。
評判・レビュー
「トヨタ・bZ4xはどんな車?売れ行き・評判・レビュー・売れない?」のテーマで解説してきました。
ご案内したように、デビュー直後にアクシデントに見舞われたために、bZ4xはまだ市場に出回っている台数が少ない状況です。
そのため、自腹を切って購入したオーナー様たちの貴重な声を集めることがほとんどできません。そこで、数少ないオーナー様の声以外に、自動車サイトのプロの評価等も織り交ぜて、以下、bZ4xの評価・レビューをご紹介します。
参考にしたのは、価格コム、みんカラ、WebCG、GQJAPAN、その他です。
- サンルーフが後席頭上までかかる大型のもので、開放感があります。後席の足元も広いです。
- EVの割には加速性能が今一つ。
- モーターによる加減速の切り替わりのタイミングでショックが発生する。日産リーフやアリアではこの動きは一切ない。
- 車重があるのでそれなりの重厚感はあり、乗り心地はよかったです。
- 良路ではビシッと締まったフラットな姿勢を維持するが、舗装の荒れた一般道などでは予想以上のドシン、ゴロンという揺れに見舞われることもある(とはいえ「日産アリア」よりはずっと落ち着きがある)。
- 先進運転支援システムは非常に充実していて、優れています。
- 他のBEVには備わるバッテリー残量(SOC)の%表示がない。
- ハンドル上部がメーターの液晶に掛かって見え辛い。
- bZ4xはリースかサブスクのみなので、購入したい人はスバルのソルテラしか選べません。
- 急速に激戦区になりつつあるミドルクラスEV分野においてちょっと影が薄いことは否定できない。次をどうするのか。
まとめ
2022年に突如として日本にEV車の激戦市場が誕生しました。Cセグメントあるいはミドルクラスといったあたりの主にSUV軍団です。
本当に、あれよあれよという間に世界中から本気のBEVが集結したのです。
まだ私もそのすべてのモデルを記事として取り上げてはいません。ですが、ここまでに取り上げたのは、ヒョンデのアイオニック5、日産アリア、フォルクスワーゲンID.4、BYDのATTO3、テスラのモデルY、そして本記事のトヨタ・bZ4xです。
これまで取り上げてきたEV車は、一部を除き、どれもメーカーの<熱>が伝わってくるものばかりです。
アイオニック5はまさに2022年を代表する車として数々の賞を受賞し、金字塔を打ち立てた車です。日産アリアは日本でも海外でも評価が高く、乗り心地に関してディスるコメントが散見されるものの、リーフで築いたEV車のノウハウを生かして、完成度の高い車に仕上げています。
フォルクスワーゲンID.4はある意味この激戦区で本命視されているモデルです。実際、ほとんど非の打ちどころのない完成度を誇っていますが、エアコンがヒートポンプ式でないところはマイナス点だと思います。
そして、新星であるだけにより<熱>が伝わってくるのが、中国の電気自動車最大手であるBYDのATTO3です。BYDは、企業グループとしての数字ですが、2022年通年でEV車の販売台数でテスラを抜き世界一になったメーカーです。
BYDはまず自動車ディーラー最激戦区と言われる横浜に、正規ディーラー1号店である「東名横浜」をオープンさせ、2025年末までに全国に100を超える販売店網を構築すると宣言しています。
何と言っても、2022年の時価総額では、フォルクスワーゲンを抜いて自動車業界世界第3位の会社です。ゼニが山ほどある会社です。恐ろしいです。
BYDのATTO3は、ヨーロッパ市場で販売される新車を対象とする安全性評価試験ユーロNCAPで5スター(最高評価)を獲得しています。
さて、ATTO3は税込440万円。たとえば東京都の住民の場合、CEV補助金と都の補助金を受給できれば、フォルクスワーゲンゴルフのベーシックグレードとほぼ同額で購入できます(310万円)。購入後の維持費は、燃料課税がない分、確実にゴルフより安いでしょう。
このクルマがもし当たれば、日本のEV市場は激変するはずです。ただし、中国のメーカーなので、韓国のヒョンデ同様に、様々なバイアスの影響が予想され、予断を許さないところがあります。
で、bZ4xです。
アクシデントがあったのでやむを得ないところはありますが、頑張って欲しいところです。
ご覧いただきありがとうございました。