ラジエーターキャップの交換には、2つの意味があります。
- 1つは、経年劣化による交換
- 2つ目は、冷却性能を上げてスポーツ走行に対応するための交換
まず、経年劣化による交換について見ていきましょう。
経年劣化による交換で性能回復
プロト(PLOT) クールテック ラジエターキャップ タイプS
ラジエーターキャップは消耗部品です。一般的には、車検の度に交換することが推奨されています。つまり、2年~3年で交換ですね。
ラジエーターキャップには、密閉弁、加圧弁、負圧弁と3つの弁があります。
密閉弁が劣化すると、単純に水漏れが発生します。冷却水漏れです。
次に、加圧弁の劣化です。加圧弁のバネやパッキンが劣化してくると、密閉する力が落ち、沸点が下がってくるため(たとえば、100度から95度)、結果としてオーバーヒートになりやすくなります。
最後は、負圧弁です。負圧弁の働きは、冷却水の温度が下がって、冷却経路の圧力が低くなったときに、弁を開き、圧力を調整する役目です。
負圧弁が開くと、高温時にリザーバータンクに逃がされた冷却水がラジエターに戻ってきます。けれども、負圧弁が劣化してくると、戻るはずの冷却水が戻らず、ラジエーター内にエアが入ってしまい、冷却効果が落ちてしまうのですね。
このように、ラジエーターキャップの3つの弁の1つでも劣化すると、交換しなければなりません。そのタイミングが、2年~3年というわけです。
ラジエーターキャップは、2年~3年に1度交換する必要があります。車検の時期に、たとえまだ劣化していなくても、予防的に交換するのがおすすめです。
ラジエーターキャップは、1,000円~2,000円と比較的安価なパーツです。マメに交換しましょう。
さて、次は、性能アップを目指して交換するケースについて解説します。
ハイプレッシャータイプに交換した場合の効果
ラジエーターキャップには、スポーツ走行などを想定したハイプレッシャータイプがあります。数値にすると、通常タイプが0.9kg/㎠~1.2kg/㎠であるところを1.3kg/㎠~1.5kg/㎠程度に圧力を上げます。
圧力を上げるということは、冷却水の沸点を上げるということです。通常の大気圧では100度程度で沸騰してしまう冷却水を、110度とか120度になっても沸騰させず、内部に気泡ができることを抑制し続けるので、冷却効果を持続させることができます。
つまり、ラジエーターキャップを交換する際に、純正品からハイプレッシャータイプに交換した場合は、それに応じた効果が表れるということです。
スポーツ走行でエンジンが過熱しても、依然として冷却効果を持続し、オーバーヒートにならずに高回転を持続できるという効果が表れます。
ハイプレッシャータイプに交換した場合の注意点
ただし、他の部分には手を加えずにラジエーターキャップだけをハイプレッシャータイプに交換すると、一時的にはスポーツ走行に効果を発揮するものの、冷却系統の各部に負荷をかけ続けるので、そのうちにホース類やその繋ぎ目などに亀裂が発生し、冷却水が漏れ出したりします。
この点は、エンジンをチューンナップしたらタイヤやブレーキやサスペンションにも手を加えなければならないのと同じ理屈です。
もしもラジエーターキャップを純正品と異なる仕様のものに交換する場合は、他の部分に手を加えるべきかどうかを含めて、プロに相談してください。
車をレース専用車両に改造するのなら、ラジエーターキャップをハイプレッシャータイプに交換するだけでなく、冷却系統のあちこちに手を加える必要があると思います。
しかし、一般道をちょっとだけスポーツ走行するのが目的であれば、純正のラジエーターキャップで十分です。
メーカーはある程度のマージンを取って設計しているので、純正品でも十分スポーツ走行に対応可能です。
まとめ
『ラジエーターキャップを交換すると何か効果がありますか?』のテーマで解説してきました。
以下、記事のまとめです。
- ラジエーターキャップの交換は主に経年劣化対応と性能向上のために行われる。
- 経年劣化により密閉弁、加圧弁、負圧弁のいずれかが劣化する可能性がある。
- 密閉弁の劣化は冷却水漏れを引き起こす。
- 加圧弁が劣化すると、冷却水の沸点が下がり、オーバーヒートしやすくなる。
- 負圧弁が正しく機能しないと、冷却水がラジエーターに戻らず、冷却効果が低下する。
- ラジエーターキャップは通常、2年から3年ごとに交換が推奨される。
- ハイプレッシャータイプのラジエーターキャップは、スポーツ走行等で冷却水の沸点を高めるために用いられる。
- ハイプレッシャータイプに交換することで冷却水が沸騰しにくくなり、冷却効果を持続させることが可能。
- ただし、ハイプレッシャータイプに交換する場合は、冷却系統の他の部品に負荷がかかるため、他の部品も強化する必要があり、専門家に相談すべきである。
- 一般的なスポーツ走行であれば、純正のラジエーターキャップで十分。
下記の記事も参考になさってください。
ご覧いただきありがとうございました。