【超丁寧解説】ディーゼル車とガソリン車の違い・比較|メリット・デメリット|燃費・燃料・メンテナンス性・維持費

ディーゼル・ガソリン・違い・比較・メリット・デメリット・燃料・燃費・メンテナンス・耐久性・維持費

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画像:MITSUBISHIエクリプスクロス by eclipse-cross.jp

(※)このページはディーゼルとガソリンの比較記事ですが、どちらかと言うとディーゼルを主語に語っています。

着火方式が最大の違い

ディーゼル車もガソリン車も、ピストンの往復運動で動力を発生するレシプロエンジンである点は同じです。

最大の違いは、点火プラグの有無です。

ディーゼルエンジンは、まずシリンダー内に空気を送り込み、これをピストンで圧縮します。この圧縮ですが、ガソリンエンジンでは11~12であるのに対して、ディーゼルエンジンの圧縮比は18前後です。

圧縮比が高いので、シリンダー内の空気は即座に高温になります。この高温になった空気に燃料である軽油を吹き付けると、点火プラグの火花がないにもかかわらず、自己着火します(これを「圧縮着火」と呼びます)。

一方、ガソリンエンジンの場合は、最初から空気と燃料の混合気をシリンダー内に送り、これをピストンで圧縮するのですが、上記のように、圧縮比は11~12と低いので自己着火はしません。そこで、点火プラグから火花を放って混合気を燃焼させます。

このように、ディーゼルとガソリンの最大の違いは、プラグ着火か圧縮着火かの違いです。

ガソリン車とディーゼル車を掛け合わせたマツダのSPCCIエンジン

2019年に販売開始されたマツダ3のガソリン車にはスカイアクティブX・SPCCIエンジンが搭載されています。このエンジンの圧縮比はディーゼルエンジン並みに高く(欧州仕様16.3、日本仕様15.0)、着火方式はプラグ着火と圧縮着火の両方を交互に行う方式です。

燃料の違い

ディーゼルエンジンの燃料は軽油です。

ガソリンエンジンの燃料はガソリン(レギュラーorハイオク)です。

燃料価格は、常に、

軽油<ガソリン

です。リッター当たり15円~20円くらい軽油のほうが安いです。

燃費の違い

同じ排気量のディーゼルとガソリンを比較すると、ディーゼルのほうが燃費性能が優れている車種が多いです。

ただし、最近はガソリンエンジンの燃焼効率が上がってきているので、その差は縮まっています。

たとえば、マツダのマツダ2(旧デミオ)のディーゼルとガソリンを比較すると下記のようになります。

  • ディーゼル1.5リッター車:21.6km/L
  • ガソリン1.5リッター車:19.0km/L

となり、それほど大きな差ではありません。ただし、やはりガソリンより軽油のほうが安いので、そこを含めて考えると、依然としてディーゼルの経済的優位性は高いと思います。他の車種でも傾向は同じです。

耐久性

ディーゼルエンジンは高圧縮比を多用するのでもともとエンジンを頑強に作ります。また、点火プラグが必要ないので、エンジン回りの電装系のパーツがあまりありません(各種センサーなどはある)。

この2点から、耐久性はディーゼルエンジンのほうが優れています。

維持費・メンテナンス性

維持費のうち、燃料代や税金ではディーゼル(クリーンディーゼルの場合)のほうが有利です。しかし、ディーゼルには下記のようなメンテナンス費用と手間が掛かります。

1)ガソリン車より頻繁にエンジンオイルを交換する必要がある:排気ガスから有害物質を除去する装置であるDPFはエンジンオイルでクリーニングされるので、オイル交換の頻度は上がる

2)定期的な水抜きが必要:軽油に含まれる水分を除去する装置であるセジメンタに貯まった水を捨てなければならない

初期費用

何といっても、ディーゼルは車両本体価格が高いです。ほぼ同じグレードのガソリン車と比較した場合、15%~20%割高になります。

たとえば、10年10万キロ乗った場合の維持費総額を比較すると、ちょっと元は取れないのではないかと思います。しかし、走行距離が普通より多い場合はディーゼルのほうがトータルでは割安になります。

いずれにしても、経済性だけで考えると、必ずしもディーゼルがお得ということにはなりません。したがって、ディーゼル車を選ぶ理由は、「ディーゼル車の走行感覚が好きだから」という理由でいいのでは?低速トルクがモリモリ湧いてくる感じは魅力的ですし、高速道路を延々と走る時の音がいい、という人もたくさんいます。

振動問題

ガソリン車からディーゼル車に乗り換えた際に、最初に感じるのは、たぶん振動だと思います。

最新のディーゼル車であっても、特に、アイドリング状態、走り出しの際、加速の際の振動は、改良されてほぼガソリン車と変わらないレベルになってきているとはいえ、それでもある程度はまだ感じられます。

アイドリング状態の振動は特に感じられるところでしょう。

ディーゼルエンジンが好きな人は、こうした振動も含めて「好きだ」というところだと思います。でも、そうであっても、常に長距離を乗る場合は気になりませんが、近場で買い物する程度の乗り方が続いた場合は、ちょっと気になることがあるのでは。

したがって、ディーゼルエンジン車を選ぶ人は、中距離や長距離を走る機会が多い、そういう使い方を前提に選んだほうがいいと思います。

近所のお買い物車では、ちょっと、という感じです。

重い車には最適

SUVや大きなミニバンにはディーゼルエンジンは最適だと思います。

ディーゼルエンジンは低速域のトルクが太いのが特徴です。重い車体でもぐいぐい押し出します。そしてガソリンより燃費性能がいいですから、車体重量のあるSUVとかビッグサイズのミニバンなどには最適なエンジンだと思います。

ヨーロッパは今でもディーゼル大国

ニュースというのは継続的に見ることが大事だと思います。

ディーゼル不正があり、一時期のヨーロッパではディーゼルエンジン=社会悪という風潮がありました。

また、地域によっては、ディーゼル車の乗り入れを規制しています(今でも継続中)。

しかし、数は減ってきたとはいえ、以前6割のシェアを誇っていた乗用車の中に占めるディーゼル車比率が、2020年現在でも4割前後あります。

ディーゼル車の乗り入れ規制も、古いタイプのディーゼル車に対してのもので、今のクリーンディーゼルは乗り入れOKです。

そして、ディーゼルエンジンの排ガス規制であるユーロ6は日本の排ガス規制値とほぼ同等のもので、ユーロ6をクリアしているヨーロッパ車は日本への輸入が許可されています。

こういうことから、いま、ディーゼル車は欧州でも日本でも再度注目を浴びているドライブトレーンです。

ハイブリッドや電気自動車の走行感覚も魅力的ですが、内燃機関にも、まだまだ汲めども尽きない奥深い魅力が潜んでいます。

自動運転も、期待はしますが、ごく限られた区域ならともかく、どんな道路でも全自動で走る車は、あと500年くらい先じゃないと無理かもしれません。先進技術大好きな私ですが、全自動運転に関しては、本当にそう思っています。

要するに、車は自分で運転する乗り物であり続けるでしょう。だったら、乗って楽しい車がいいと思います。

下記の記事も参考になさってください。

ご覧いただきありがとうございました。